neutrino PMT Tokyo University
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私たち、ハニー・ファン・デン・ベルグ(蘭)、牡丹靖佳(日)、ヒロキチ(日)、ヤン・ファン・デン・ベルグ(蘭)は、それぞれ日本とオランダのアーティストインレジンス滞在中に知り合いました。何度となく再会するうちに、私たちは互いの文化的類似点や美的相違点の裏に、もっと大きな物語が潜んでいることを発見しました。その大きな物語とは長く続いた日本とオランダとの特別な交錯のことです。私たちは美術を使って、その物語がどのように現在と関わりを持つのかを調査し、呼び起こしたいと考えています。

1600年から1859年までの約250年間、オランダと日本は特別な(貿易)関係を結んでいました。この時期、日本は世界から切り離され、西洋で唯一オランダだけが貿易相手国として物品や美術品、さらには知識を行き来させていました。そして互いを知るうちに、物事に対する考え方や対処方法が違うという事に気がつきます。私たちは彼らの足跡をたどりながら、現代が抱えている「伝統」「アイデンティティー」「グローバル化」「移民や難民」といった問題に焦点を当てて対話を掘り下げたいと考えています。

日本とオランダのような関係はなかなか見当たりません。特に18世紀のオランダは日本文化をヨーロッパに広める窓口的な役割を果たしました。日本においてはオランダ(西洋)文化に興味をもった日本の知識人たちが蘭学を構築しました。当時の日本で西洋知識を学ぶためには英語ではなくオランダ語が必須条件でした。オランダ語は東洋のラテン語だったのです。ゆえに交流の第一歩は異文化間の対話と言っても過言ではないでしょう。私たちは美術を使ってその対話を呼び起こしたいのです。この変化する時代に私たち自身、そして他者をどう理解・把握するのかを主題として。

キーワード:「伝統」「アイデンティティー」「グローバル化」「移民や難民」